MCバトル漫画、いまだ成功例無い説

ラップブーム終わりましたね。

 

終わりましたが、2015年あたりからMCバトルが流行り始めて(高ラから数えるならもう少し前から)、私はいまだにフリースタイルダンジョンも観ているし現行のバトルシーンも一通り追っています。また、バトルMCだけでなく、hip-hopシーンも興味を持って聴いています。むしろ世界の潮流からして日本でhip-hopが流行ってないのが謎だと思ってるくらいです(何故か日本では有名で発言権のある人の曲ほどダサい現象のせいだと思いますが)。

今回の記事の本筋に関係ない話ですが、たまに「ラップブーム終わりましたよね」と人に言われたら、マウントを取るように「2016年にyoutube上でフリースタイルダンジョンyoutubeでの配信をやめたあたりからMCバトルのブーム前夜からその大きなムーブメントに気付いていたオタク達は『あぁ、もう収束に向かって行くのかな』と感じていたし、今更ブームが下火だと言われても……笑 私はもっと早くからそれを感じてましたけど……?(微笑む)(机の水を飲む)(微笑む)」と早口で捲し立て、コーナで差をつけてしまうオタクと化してしまいます。

 

 

 

完全に話が逸れましたが、

漫画界はその時々のムーブメントを取り入れた作品が、その時々に応じて生まれますよね。

 

MCバトルの流行により、この数年で何作もMCバトルをモチーフにした漫画が生まれました。

曽田正人先生が月刊ヤングマガジンで連載中の『Change!』などが現行のMCバトル漫画の代表例だと思います。

 

そのMCバトル漫画の中でいの一番に発表された作品は、てしまの観測出来る限りの中ではcent先生がジャンプルーキーで発表した『マイクを握れば』

https://rookie.shonenjump.com/series/FlR8CfECvJs

だと思われます。2015年の9月17日に第1話が公開されています。

 

その他にも週刊少年チャンピオンで連載されていた前にいきいきごんぼを描いていた陸井栄史先生の『サウエとラップ〜自由系〜』、おそらく唯一の四コマMCバトル漫画(四コマだったり四コマじゃなかったりだけど)である背川昇先生の『キャッチャー・イン・ザ・ライム』、インカ帝国先生の『ラッパーに噛まれたらラッパーになる漫画』が新都社(確か)で公開されたのもかなり前の事だった気がします。

来月からもまた新しく別冊少年マガジンで額縁あいこ先生の『丹沢すだちが此処にイル!』という漫画が始まるようです。

Twitterでもラップをネタにした就活漫画がバズってたり、何かの新人賞で公開されていたMCバトル漫画が甘くバズってましたね。

 

 

けど、この中で成功してる作品ありますか?

たしかに『Change!』は実際に行われているMCバトルイベント、高ラや戦極MCバトルなどが名前もそのまま出ていて提携協力していたり、『キャッチャー・イン・ザ・ライム』はラッパーの般若さんやR-指定さんが監修していますが(ギャグ漫画でしたが『サウエとラップ〜自由系〜』も……)、漫画表現としていまだMCバトルを正しく描けている漫画現れてなくないですか???

まず、バトル中のライミングを一人の作者が考える事が何か違う気がするんですよね。唯一『サウエ』くらいじゃないですか、毎週別のラッパーを呼んで歌詞作ってたの。

けど、更にそれ以前に漫画の中でわざわざライムって全文書かなきゃいけないんですかね?

吹き出しの中で漢字はゴシック平仮名は明朝体の漫画文字で抑揚(それこそフロウよね)のないままライミングしても、何も通じなくないすか?

 

要ります?文字。

もうわざわざセリフでライミングするのダサくないすか?

BLUE GIANT』みたいにその場の覇気みたいな熱量だけ描いて、それだけでも充分通じるくないすか?『BECK』のコユキが歌ってる時みたいな逆に無音感ある表現とか。もしくはライムを書くにしても『日々ロック』みたいなレタリング表現でフロウやらバイブスを表現すべきじゃないすか??

TwitterでバズってるMCバトル漫画みたいなのは、作者が「流行ってるから描いてみた😉」みたいな感覚でしか描いてないから全くその辺の機微無いですよね。大概韻も語尾でしか踏まないし。

ベテラン漫画家の曽田正人先生も、め組の大吾を始めとする諸作品から判るように勉強熱心な方なので一通り目を通して見てみてはいるのでしょうけど、担当から「MCバトルを題材に描いてみましょうか」とか言われて描いてる感否めないんだよな。MCバトルを理解していて、まともなセンス持った人間がフキダシに全文のライム書くか???

 

絶対わざわざ文字化する必要無いんだよな……。ライムとフロウとバイブスの中でフロウとバイブス無しでするジャンケン、武蔵が居ない時のデビルバッツはパーの無いジャンケンと揶揄されてたけどそれよりヤバいでしょ。それじゃ夕日ガッツズにすら勝てないと思うんですけど。

 

ライミング全文を書かずに雰囲気や描写で熱量を伝えようとしてたMCバトル漫画、逆に『マイクを握れば』しか無い説あるんですよね。

 

 

能力バトルとか格闘漫画などの、視覚でわかりやすい戦闘描写は漫画界でかなり土壌が豊かだと思いますが、文字表現(フォントとかね)やセリフ表現の土壌はまだ発展途上ですよね。コエカタマリンから大した進歩無い気がします。MCバトルというコンテンツが流行って、その尻馬に乗って漫画会がMCバトルというコンテンツを消費しようとするなら、せめてその未熟な土壌の何か足しになればいいですね。

 

完全に話が逸れますが、流行りのフォントとか文字表現ってありますよね。漫画界でそういうのが活用され始めてる感あります。デデデデ然り、秋本治氏の新連載で使われていたタイトルのフォントや配置、あれ完全に秋本治の考えじゃなくて、そのまわりの人間たちが「秋本治は新しい潮流についていけてますよ」を演出するための露骨な新しさ描写でしたよね。かなり太いゴシックが空に浮かんでるようなやつ。浅ましかったわ。

 

 

MCバトル漫画が大ヒットするの、榎屋克優先生に描かせるのが一番可能性あると私は信じてます。